ちびっこコンサートとは。
" 音楽はきちんと聴くもの。
静かに聴くもの。
間違えずに演奏するもの。"
いつしか、そんなことを守らないといけない呪縛が世の中にある様に感じて、ソ
ルフェージスクールはこんな自由なのにと、思うことがありました。
そんな時にスクールの津布楽先生が
「
何をしていても良い音楽会をしませんか?」とご提案くださいました。
思いつきの江原もそれは良い!と二つ返事でのりました。これがちびっこコンサー
トのはじまりです。
寝っ転がってもいいし、ピアノの下に潜り込んで全身で音を感じてもいい。ピア
ノを覗き込んでもいいし、踊っても、歌っても、寝ちゃってもいいのです。
バッハが奏でられている隣で、初めて出会った男の子同士が何やらヒソヒソ話を
したり、ハンガリー舞曲のテンポの揺れを、親子や兄妹で、走って止まって、ま
たバタバタして止まったり。
絵本の読み聞かせに夢中になっていると思ったら、手をかざして自分の影を知っ
たり。とにかく心の動くままに存在することができる時間になりました。しかし、
こちらが何も言わなくても邪魔する子供たちもいないし、困ったことにはならな
い。子供はすごい!と思うところは、こちらに支配しようという力がなければ、
それを跳ね除けようとはせずに、寄り添ってくれるのだと確信しました。
きっとそれが音楽の魅力、音楽のもとになるソルフェージの大切な力だと思いま
す。
(江原陽子)
第5回目のちびっこコンサート(通称:ちびコン)は夏の猛暑(今年も長かった…)がやっと影を潜め、秋気とはいかないまでも気持ちの良い秋晴れの中行われました。 開場時刻が過ぎても受付はし~んと静まり返ったまま。 ちょっと寂しい…と思っていたのも束の間、すぐにちびっこたちの活気に満ち溢れた声にスクールは包まれました!ちびっこの熱気に後押しされる形で、ちびコンのテーマソング『いっしょに、ね』(詞:桑原永江)が江原先生によって活き活きと歌われました。前半は歌とピアノによるプログラムです。 さぁ、演奏が始まりました。ピアノの鍵盤の横にはちびっこの顔がひょこり、足元にもちびっこがそろり、目の前にはピアノ内部をのぞき込む抱かれたちびっこ。上下左右、後ろま でもちびっこ、まさに四面楚歌(しかし、敵ではない!)状態の中、『エリーゼのために』を弾く経験はそうできるものではありません。 ミレ#ミレ#ミレ#…、を何回弾いたか…と焦りつつ、皆様に超有名曲をお届けできる喜びを感じながらの演奏でした。 ピアノ演奏の後は、我らが江原先生による子どもの歌。 秋の歌をはじめ、誰もが知っている童謡を歌っていただきました。 振り付けをしながら、抱っこしながらの美しい歌唱は、これぞ名人芸と言わざるを得ません。 ちびっこだけでなく元ちびっこの大人までもが、その歌声に惹きこまれていました。
後半はスクールが誇るピアニスト、加藤先生と込山先生をゲストにお迎えしピアノの楽しさを味わっていただきました。 ソルフェージスクールの特筆すべき音楽環境は吉村順三先生の歴史的な建築物だけでなく、グランドピアノを同一フロアに2台も所有している点にあります。 連弾だけでなく、2台ピアノの演奏も可能となるわけです。2台のピアノ、複数のピアニスト。 このような素晴らしい環境を、ちびっこをはじめとしたお客様に味わっていただかない手はありません。 ピアノソロ、二人連弾(4手)、三人連弾(6手)、そして四人連弾(8手!)となると、タコを彷彿とさせる腕や指の動き。 ちびっこだけでなく、大人までもがその異様な光景に興味津々。ピアノ周りの人口密度がぐんっと高まりました(8手でも過密なのに!)。 ピアノや歌、楽器を耳だけでなく目の前で、視覚的にも楽しめることがちびコンの良さでもありますので、普段見ることのできない演奏形態や鍵盤の動き、指の動きを楽しんでいただけたことは嬉しい限りです。 最後はエルガーの『威風堂々』を2台8手連弾でお送りし、迫力ある演奏をお聴きいただきました。 あっという間の100分でしたが、ちびっこや大人が、それぞれ思い思いの場所で、それぞれの感じ方で音楽と触れ合うことができたのならば、それ以上何も言うことはありません。 ちびコンが終了し、階段を下りるその手にはお土産のどらやき(和菓子『とう』の逸品)が握りしめられていることは言うまでもありません!
今回のちびコン最年少お客様はおそらく1歳前後。 その近くに座ったお姉さんちびっこ(4歳くらい)が終始気にかけてくれていました。 このように初めて出会ったちびっこたちが触れ合えるのもちびコンの良さと言えるのではないでしょうか。 ちびっこ同士だけでなく、演奏者である私たちも含めた大人までもが、この空間で時間を共有できることはかけがえのないことです。 小さな音楽会ですが(ちょっと賑やかではありますが)、音楽やこの素晴らしい環境を通して、人間的な交わりが持てることは本当に幸せなことだと感じております。 第1回目のちびっこコンサートは2023年9月。 光陰矢の如しとはよく言ったもので、今回のコンサートで早くも5回目を迎えました。 まさか年2回の定期コンサートになるとは夢にも思わず(いや、夢では思い描いていたかも!)、ソルフェージスクール関係者やお客様(大人もちびっこも)に支えられてここまで続いていること、本当に嬉しく思います。 心より感謝申し上げます。次回は2026年2月23日です。 事務の方が毎回用意してくださる手作りの可愛いチケット(クオリティーの高さに驚愕!)と共にお待ちしております! レパートリーは底を突いていますが、これまで同様多くの皆様に頼りつつ、ソルフェージスクールの素晴らしい環境の中で一人でも多くのちびっこが音楽と戯れることを願っています。 そして、ソルフェージスクールの素晴らしさを多くの方に知っていただきたい!
- 津布楽杏里 -